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2014“SHOTGUN SPECIAL” STORY vol.3
波はダブルアップ・トリプルアップして掘れ立ち上がり、そのスピードは極めて速くて、独特だ。
まず3〜4フィートの1段目のうねりのへこみに合わせてパドルを始めるが、さらにその後ろに6〜8フィートの2段目の分厚いうねりが控えている。
1段目のうねりが吸い込んだ水は急激に立ち上がり8フィートの壁へ、2段目のうねりはそのまま分厚いリップになって前に吹っ飛んでくる。
開拓期はシークエンスの蛸操氏と2人だったが、その後、当時日本に在住していたオージーのボディーボーダー故ブレッド・ヤング氏が頻繁に参加し始めた。
シャークアイランド出身で世界を転戦した彼は、SHOTGUNをワイメアとマーベリックスと地元シャークアイランドを混ぜたようだと表現した。
そんな癖だらけの波を攻略するにはサーファーの度胸だけでは歯がたたず、どうしてもスペシャルなボードが必要だった。
6,10から9,6まで何種類もの板を試した。
スムーズにうねりから走り出すタイプの波ならば長い方が有利。
しかしサックアップする波にはあまり有効でもなかった。
9フィート台も2本試したが、早くて掘れるピークにロッカーが合わなかったり、レールがかまずにテイルからスピンアウトした為、エリックさんからは8,4という絶妙な長さが提案された。。
吹き上がる風と立ち上がる波のスピードとのレースに勝つために、ノーズ寄りにボリュームを持たせ、デッキもボトムも6オンスの2層で巻いて強度と重さを重視した。
とにかく重さを借りてでもボトムに板を落としたいのだ。
8,4のSHOTGUN SPECIALはトライフィンでスピードを重視してバックフィンが大きめ。
やや小さめの波の日用SHORTGUNはコントロール性を重視しての6,10をチョイス。
同様にノーズボリュームと重さは持たせたまま、波に張り付いてバレルが狙えるようにクアッドでセットされた。
SHOTGUNの波はコンスタントではないため、いずれの板も勝浦湾の中のマリブや松部でもテストしている。
冒頭のクラッシュしたボードの写真は松部のアウトサイドがブレークした去年の秋、たしか秋分の日あたりだったと思う。
次回はその日の出来事を。
バックナンバー
“SHOTGUN SPECIAL” STORY vol.1
“SHOTGUN SPECIAL” STORY vol.2
筆者紹介
HIC JAPAN TEAM RIDER
石丸 義孝 – Yoshitaka Ishimaru
生年月日:1963.4.2
ホームポイント:マリブ 松部 SHOTGUN
ボードスペック
:5’10” x 20 1/8″ x 2 7/16″ Rocket Fish
:6’4″ x 18 1/4″ x 2 1/4″ Amplifire
:8’4″ x 19 5/8″ x 3+ SHOTGUN SPECIAL